◆長期修繕計画とは?
建物を長く維持していくには、定期的な修繕が必須となります。
外壁や屋根などの建築構造物はもちろん、給水ポンプやエレベーターなどの設備もしゅうぜんが必要となります。それは、木造の戸建てやアパートであろうと、鉄筋コンクリート造のマンションであろうと必要となってきます。
当然ながら建物の規模が大きくなればなるほど設備も増え、自ずから修繕費用も大きくなってきます。
また、足場を架けて屋上防水や外壁、鉄部の修繕を行う大規模修繕工事を行うとなれば、それこそ大きな費用が必要となります。
そのため、建物や設備の修繕周期などをもとに長期的な修繕計画を立て、いつ頃にどれぐらいの出費が発生するのかをある程度把握し、それに基づき計画的に資金計画を立てていくことが必要となってきます。
この修繕計画とどの程度の資金が必要かを試算する計画表が長期修繕計画となります。
特に建物ではなく、お部屋を所有(区分所有と言います)する分譲マンションでは共用部分は区分所有者の共有となるため、毎月、修繕費を積み立てています。
その修繕費を計画的に使用できるよう、また積み立てていけるように長期修繕計画というものを立てている物件が多いです。
なお、分譲マンションや共用部分、大規模修繕工事については以前に記事にしていますので以下のリンクをご参照ください。
◆賃貸マンションでも長期修繕計画が必要?
上記で分譲マンションでは長期修繕計画を立てている物件が多いとお話ししましたが、賃貸物件であっても当たり前ではありますが、定期的な修繕というものは発生します。
賃貸物件であってもオーナーさんが今後どの程度の資金を用意しておく必要があるのかというのはある程度目算を立てておいた方が良質な賃貸住宅を供給できるのではないでしょうか。
そのため、国土交通省では「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を発行し、賃貸住宅においての計画修繕の必要性を啓蒙しているほか、日本賃貸住宅管理協会も本格的に長期修繕計画について「賃貸住宅版長期修繕計画案作成マニュアル」を作成するなど、本格的に賃貸住宅への長期修繕計画の活用を取り入れようとしています。
また、昨年には賃貸物件向けの大規模修繕工事の共済が誕生し、計画的に資金の準備ができるようになったほか、その支出は損金として経費計上できることから税制上も有利になります。
上述のように賃貸住宅に対する長期修繕計画の導入や、計画的な修繕の推進は今後も進んでいくと思われます。
◆賃貸管理会社でも必須の知識となる?
長期修繕計画は建物や設備の計画的な修繕を考える上では重要な指針となります。
賃貸物件でも長期修繕計画や計画的な修繕の考え方が促進していくとなると、賃貸管理会社はオーナーさんに対して長期修繕計画の立案や説明ということ知識が必要となってきます。
今までののように何かが壊れてから修繕を提案するという考え方から、予防保全的に修繕周期を見越した修繕提案というものが必要になってくる機会が増えてくると思います。
そのため、国家資格となった賃貸不動産経営管理士試験にも長期修繕計画の考え方が試験範囲になってくる可能性はありますし、日本賃貸住宅管理協会が新たに「賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度」を2023年に導入決定するなど、長期修繕計画や計画修繕という考え方を学ぶ必要が出てくるかもしれません。
賃貸不動産経営管理士や賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度については以前に記事にしておりますので、以下のリンクよりご参照ください。
◆まとめ
本日は長期修繕計画についてお話してきました。
長期修繕計画は分譲マンションでは当たり前のように策定している物件が多く、大手デベロッパーさんが施主であるマンションであれば建築時から長期修繕計画が存在し、それを定期的に見直しながら、修繕積立金の見直しなどを行うと言ったことが当たり前のように行われていますが、賃貸物件についてはそのような考え方はまだまだ普及しているとは言えません。
建物が古くなっていけばそれだけ資産価値は減少し、空室率にも影響してしまうなど、建物設備の修繕というのは賃貸住宅にとっても大切な考え方となってきますので、ぜひ今後ますます計画修繕の考え方が普及して行ってもらえればと考えています。
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